東京地方裁判所 昭和34年(行)3号 判決 1962年10月31日
判 決
原告(反訴被告)
清水義雄
ほか四九名
(別紙当事者目録のとおり)
右訴訟代理人
海野晋吉
ほか一五名
(別紙当事者目録のとおり)
被告(反訴原告)
東京都
右代表者都知事
東龍太郎
右訴訟代理人
吉原歓吉
ほか三名
(別紙当事者目録のとおり)
右当事者間の昭和三四年(行)第三号給付返還義務不存在確認本訴請求及び昭和三五年(行)第五一号不当利得返還反訴請求事件について、当裁判所は次のように判決する。
主文
被告(反訴原告)は原告(反訴被告)らに対し別表の請求金額欄表示の各金員及びこれに対する昭和三四年三月一五日以降完済に至るまで年五分の割合による各金員の支払をせよ。
本件反訴を却下する。
訴訟費用は本訴及び反訴を通じ被告(反訴原告)の負担とする。
事 案
第一 (当事者双方の申立)
一 原告(反訴被告)ら訴訟代理人は、本訴につき、主文第一項同旨及び「訴訟費用は被告の負担とする。」との判決竝びに仮執行の宣言を求め、反訴につき、本案前の抗弁として、「反訴原告の訴を却下する。訴訟費用は反訴原告の負担とする。」との判決を、本案として、「反訴原告の請求を棄却する。」との判決を求めた。
二 被告(反訴原告)訴訟代理人は、本訴につき、「原告らの請求を棄却する。訴訟費用は原告らの負担とする。」との判決を求め、本訴における被告(反訴原告)の申立が認容されない場合の予備的な反訴につき、「反訴被告らは反訴原告に対し別表の請求金額欄表示の各金員及びこれに対する昭和三三年四月二四日以降完済に至るまで年五分の割合による各金員の支払をせよ。訴訟費用は反訴原告らの負担とする。」との判決を求めた。
第二 (原告((反訴被告))らの主張)
原告(反訴被告)ら訴訟代理人は、本訴における請求の原因及び被告(反訴原告)の抗弁に対する答弁、再抗弁竝びに反訴における本案前の抗弁及び答弁として、次のように述べた。
一 (本訴の請求の原因)
1 原告(反訴被告)ら(以下、単に原告らという)はいずれも別表の勤務校欄記載の東京都北多摩郡砂川町立小、中学校に勤務する教員であるが、その給与は、市町村立学校職員給与負担法第一条により、被告(反訴原告)(以下、単に被告という)が負担することになつている。(以下、このような教員を都費負担教員という)そして、昭和三四年三月当時における原告らの給与は、別表の給与金額欄記載の各金額であつて、毎月一四日その月分が支給されることになつていた。
2 ところで、原告らは昭和三四年三月には前記各学校において正常に勤務したのに、被告は原告らに同月分の給与を同月一四日支給するにあたり、別表の請求金額欄記載の各金額(以下、滅額分という)を差引いてその残額のみを支給し、今日まで滅額分を支給しない。よつて、原告らは被告に対し、滅額分及びこれに対する支給日の翌日である昭和三四年三月一五日以降完済に至るまで民法所定の利率年五分の割合による各遅延損害金の支払を求めるため、本訴請求に及ぶ。
二 (被告の本訴抗弁に対する原告らの答弁及び再抗弁)
1 第三の二に記載する被告の抗弁事実のうち、原告らが東京都教職員組合の組合員であつて、昭和三三年四月二三日(以下、当日という)立川市で開かれた東京都教職員組合北多摩支部の勤務評定実施反対のための措置要求大会に参加したこと、被告が、原告らは当日出勤しなかつたものとして、学校職員の給与に関する条例(昭和三一年九月東京都条例第六八号、昭和三二年一〇月東京都条例第五八号)(以下、都給与条例という)第一六条第一項に基づき、昭和三四年三月分の給与額から当日分の給与額(滅額分相当額)を差引いてその残額を支給したこと、昭和三三年四月当時給与の支給日が毎月一一日であつて、原告らが当日分の給与額を含めた昭和三三年四月分の給与の全額を同月一一日支給されたことはいずれも認めるが、その他の点は否認する。
2 原告らは当日登校しないで、前記組合大会に参加したのであるが、これより先昭和三三年四月一九日砂川町教育委員会は、学校教育法施行令第三〇条、同法施行規則第四七条及び砂川町学校教育法施行細則(昭和三〇年九月砂川町教育委員会規則第八号)第八条に基づき、当日を休養日とし、且つ教員は当日登校するを要しない旨を決定(以下、休業日等の決定という)し、右決定は同月二二日砂川町教育長から同町立小、中学校の校長を通じその教員に伝達された。ところで、教育公務員特例法第一九条には、教員はその職責を遂行するために絶えず研修に務めなければならない旨が、同第二〇条には、教員には研修の機会が与えられなければならない旨が規定されているが、これらの規定にいう研修中には、教員が勤務時間中本来の勤務場所を離れ、自宅その他の場所で自主的に行う研修(以下、自由研修という)も含まれるものと解すべきである。この自由研修は、本来の勤務場所を離れて行われるものであるから、通常監督者の指示又は承認を要するのであるが、夏季休業日その他の休業日においては、慣習法上、教員は、監督者から特段の業務を命ぜられない限り、その指示又は承認を受けないで自由研修をなし得るのみならず、更に給与の関係では、現実に研修をしなくとも自由研修の名目で勤務時間中勤務しているものとして取扱われることになつている。そして、原告ら都費負担教員の任命権者は東京都教育委員会であるが、その服務についての監督者が砂川町教育委員会であることは地方教育行政の組織及び運営に関する法律第四三条の明定するところであるから、原告らが行う自由研修についての指示又は承認権も砂川町教育委員会に属するものといわなければならない。してみると、砂川町教育委員会の前記休業日等の決定が原告らに伝達された以上、当日原告らが登校しなかつたのは当然であり、給与の関係では、前記理由により、勤務時間中自由研修をしたもの、すなわち勤務したものとして取扱われるべきであるから、原告らの当日分の給与が減額されるいわれがない。
3 仮に原告らが当日勤務したものとして取扱われないものであるとしても、原告らは、当日勤務しなかつたことについて砂川町教育委員会の承認を受けたのであるから、原告らに対する当日分の給与の減額は許されない。すなわち、都給与条例第一六条第一項は、「職員が勤務しないときは、その勤務しないことにつき教育委員会の承認があつた場合を除くほか、その勤務しない一時間につき、第二〇条に規定する勤務一時間当りの給与額を減額して給与を支給する。」と規定し、職員が勤務しないときでも、その勤務しないことにつき教育委員会の承認があつた場合には、給与を減額しないで支給する旨を定めているが、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第四三条により、市町村教育委員会が都費負担教員である市町村立学校の教員に対する服務上の監督者である以上、都給与条例第一六条第一項にいわゆる「教育委員会」とは、市町村立学校の教員に対する関係では、所管市町村教育委員会を指すものと解すべきである。ところで、砂川町教育委員会の前記休業日等の決定中、教員は当日登校するを要しない旨の部分は、教員が当日勤務しないことについての同委員会の承認たる性質を有するから、原告らは、右決定により、当日勤務しなかつたことについて同委員会の承認を受けたことになり、従つて都給与条例第一六条第一項により、当日分の給与が減額されるいわれはない。
4 仮に原告らの以上の主張がいずれも理由がなく、被告が主張するように、都給与条例第一六条第一項により、原告らの昭和三三年四月分の給与は、同月分の給与額から当日分の給与額を減額して支給されるべきものであつたとしても、被告が原告らに対し昭和三四年三月分の給与を支給するにあたり、同月分の給与額から、既に昭和三三年四月一一日原告らの同月分の給与額に含めて支給した当日分の給与額を差引調整することは、給与の過払による不当利得返還請求権と給与債権との相殺であつて、労働基準法第二四条第一項本文の賃金全額払の原則に違反し、許されない。従つて、右差引調整によつて、原告らの昭和三四年三月分の給与の一部、すなわち減額分の支払請求権が消滅することはない。
四 (反訴の本案前の抗弁)
およそ反訴は、その目的たる請求が本訴の目的たる請求又は防禦方法と牽連することをその要件とするところ、本件反訴の目的たる請求はそのいずれとも牽連しない。すなわち、前者の場合は、両訴請求がその権利関係の内容又は発生原因において法律上又は事実上共通することを要するが、本件においては、本訴請求が昭和三四年三月分の未払給与の支払請求であるのに、反訴請求が昭和三三年四月分の給与(当日分の給与)の過払による不当利得返還請求であつて、両訴請求はその権利関係の内容ないし発生原因において法律上も事実上も共通性がない。また、後者の場合は、反訴請求が本訴における防禦方法である抗弁事由とその内容又は発生原因において共通することを要し、しかも本訴における防禦方法は法律上有効なものでなければならないとされているが、本件においては、この点に関する本訴の抗弁は、給与の過払による不当利得返還請求権を自働債権とする相殺により、本訴請求の給与債権が消滅したことを主張するものであつて、その主張自体において実体法上役立たないことは既に述べたとおりである。従つて、本件反訴は、反訴の要件を欠き、不適法として却下されるべきである。
五 (反訴の答弁)
被告主張の反訴の請求の原因たる事実のうち、原告らが当日分の給与の支給を受けたことは認めるが、原告らに対する当日分の給与の減額が許されないことは、既に述べたとおりであるから、それが不当利得になることはない。
第三 (被告の主張)
被告訴訟代理人は、本訴の答弁及び抗弁竝びに反訴の請求の原因として、次のように述べた。
一 (本訴の答弁)
原告ら主張の本訴の請求の原因たる事実はすべてこれを認める。
二 (本訴の抗弁)
被告が原告らに支給すべき昭和三四年三月分の給与の一部(減額分)を支払わなかつたのは、次の理由によるのである。すなわち、原告らは東京都教職員組合の組合員であつて、当日(昭和三三年四月二三日)の勤務時間中、立川市で開かれた東京都教職員組合北多摩支部の勤務評定実施反対のための措置要求大会に参加し、勤務しなかつたので、被告は都給与条例第一六条第一項により、同月分の給与はその給与額から当日分の給与額(減額分相当額)を減額してこれを支給すべきであつたが、当時給与の支給日が毎月一一日であり、当日分の給与額を含めた昭和三三年四月分の給与の全額を同月一一日既に支給していたので、当日分の給与額は過払となつた。そこで、被告は原告らに対し、昭和三四年三月分の給与を支給した際、都給与条例の右規定により、同月分の給与額から当日分の給与額を差引いてその残額を支給したのであるから、同月分の給与について未払分はない。
なお、右のような給与の差引調整は労働基準法第二四条第一項本文の賃金全額払の原則によらないことになるが、同条項但書によると、法令の別段の定がある場合には、右の原則によらず、賃金の一部を差引いて支払うことができるものとされているところ、都給与条例第一六条第一項は、給与の差引調整の方法をも定めているのであるから、労働基準法第二四条第一項但書所定の法令に該当し、従つて被告がした右給与の差引調整はなんら違法でない。
三 (原告らの再抗弁に対する被告の答弁)
1 第二の二の2に記載する原告らの再抗弁事実のうち、原告ら主張のような慣習法の存在は否認するが、その他の事実は認める。
しかし、東京都教育委員会は、東京都教職員組合北多摩支部の組合員である教員が当日同支部の勤務評定実施反対のための措置要求大会に参加するため一せいに休暇をとるなどの挙に出ることが予想されたので、これに対する措置として、その前日、東京都教育委員会は、同委員会が直接その服務を監督することができる特別区立学校の教員については、同人らに当日登校するように命令すると共に、直接その服務を監督することができない市町村立学校の教員については、市教育委員会に、又は所轄東京都教育庁出張所長を通じて町村教育委員会に、特別区立学校の教員に対して登校命令を発したことを告げて、管内市町村立学校の教員に対してもこれと同様の措置をとるべき旨を指示した。原告らは右指示を熟知しながら、当日登校しないで、前記組合大会に参加したのであるから、給与の関係でも原告らを勤務しなかつたものとして取扱う外はない。
2 第二の二の3に記載する原告らの再抗弁事実のうち、砂川町教育委員会の前記休業日等の決定により、原告らが当日勤務しなかつたことについて同委員会の承認を受けたとの点は否認する。
仮に原告らが当日勤務していなかつたことについて砂川町教育委員会の承認を受けたものとしても、同委員会は都給与条例第一六条第一項所定の「承認」を与える権限を有しない。けだし、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第四二条には、都費負担教員の給与、勤務時間その他の勤務条件については、都の条例で定める旨が規定され、これに基づく都給与条例第一六条第一項は、教員が勤務しないときに、その勤務しないことについて「教育委員会」の承認があつた場合には、給与を減額しないで支給する旨を規定しているが、右規定にいわゆる「教育委員会」とは、東京都教育委員会を指すことは、同条例第四条により明らかであるから、市町村立学校の教員に対する関係でも、教員が勤務しない場合における給与の不減額支給に関する右承認権は、東京都教育委員会がこれを有するものというべく、(もつとも、砂川町立学校の教員に対する東京都教育委員会の右承認権は、東京都教育庁出張所設置に関する規則により、東京都教育庁北多摩出張所長に委任されている。)他に右承認権が、市町村立学校の教員に対する関係では、所管市町村教育委員会に属するものと解すべきなんらの法令上の根拠もないからである。
従つて、このような承認権を有しない砂川町教育委員会が原告らに対してした前記承認は、重大且つ明白なかしある行政処分として無効であるといわなければならない。
四 (反訴の請求の原因)
仮に本訴における被告の主張がすべて理由がなく、その申立が認容されないとすれば、被告は次のような反訴請求に及ぶ。既に第三の二に記載するように、原告らが当日分の給与の支給を受けたことは、法律上の原因がないのに、被告の損失において、利得したことになり、しかも原告らは悪意の受益者であるから、被告に対して当日分の給与額(減額分相当額)である別表の請求金額欄表示の各金員に、これに対する受益後の昭和三三年四月二四日以降完済に至るまで民法所定の利率年五分の割合による各利息を附加してこれを返還すべき義務がある。よつて、その支払を求めるため反訴請求に及ぶ。
第四 (立証)≪省略≫
理由
一 まず本訴請求について判断する。
1 原告らが別表の勤務校欄記載の東京都北多摩郡砂川町立小中学校に勤務する都費負担教員であつて、原告らの昭和三四年三月当時の給与が別表の給与金額欄記載の金額であり、毎月一四日被告からその月分が支給されることになつていたこと、原告らが同月前記各学校において正常に勤務したのに、被告が同月一四日原告らに同月分の給与を支給するにあたり、その給与額から減額分を差引いてこれを支給したことは、当事者間に争のない事実である。
2 原告らは本訴において、以上の事実に基づいて、正常に勤務した昭和三四年三月分の給与の一部である減額分の支払を請求するわけであるが、これに対し被告は、被告が昭和三三年四月一一日原告らに同月分の給与を支給したところ、その後である(当日同月二三日)原告らが勤務しなかつたため、当日分の給与が過払となる結果になつたので、昭和三四年三月分の給与を支給するにあたり、その給与額から当日分の給与額(減額分)を差引いてその残額を支給したのであるから、原告らは減額分の支払請求権を有しない旨を抗弁するのである。そこで、仮に被告の原告らに対する当日分の給与が過払となり、従つて被告がその返還請求権を有するとしても、果して昭和三四年三月分の給与額から当日分の給与額を差引調整することが法律上許されるかどうかについて判断する。
砂川町立小、中学校の教員である原告らは地方公務員であるから、地方公務員法第五八条第二項の反対解釈として、原告らに対する給与の支給については、労働基準法第二四条第一項本文所定の賃金全額払の原則が、同項但書所定の除外事由がない限り、適用されるところ、被告がした原告らに対する右給与の差引調整は、昭和三四年三月分の給与の全額を支給しない点において、(右差引調整が法律上相殺となるかどうかについては、ここでは論及しない。)賃金全額払の原則に反し、違法であることは明らかである。被告は、右給与の差引調整は労働基準法第二四条第一項但書所定の除外事由である法令の別段の定に基づいてしたものであると主張し、その法令の定として都給与条例第一六条第一項を挙示するのであるが、「同条項は、職員が勤務しないときは、その勤務しないことにつき教育委員会の承認のあつた場合を除くほか、その勤務しない一時間につき、第二〇条に規定する勤務一時間当りの給与額を減額して給与を支給する。」と、規定し、給与の減額の事由とその基準を定めているだけで、その減額すべき給与額を次の給与期間以降の給与から差引くことができるかどうか、すなわち、給与の一部控除の能否についてはなんら触れるところがないのであるから、都給与条例の右規定は労働基準法第二四条第一項但書にいう法令の別段の定に該当しない。それ故、他に特別の主張、立証のない本件では、被告がした原告らに対する右給与の差引調整は違法であつて、許されないものといわなければならない。従つて、右給与の差引調整を前提とする被告の抗弁は、他の点について判断するまでもなく、その主張自体において採用することができない。
3 以上の次第で、被告は原告らに対し減額分、すなわち別表の請求金額欄表示の各金員及びこれに対する支給日の翌日である昭和三四年三月一五日以降完済に至るまで民法所定の利率年五分の割合による各遅延損害金を支払う義務があるから、その支払を求める原告らの本訴請求は理由がある。
二 次に、反訴請求については、まず反訴が適法であるかどうかを判断しなければならない。
民事訴訟法第二三九条によると、反訴の目的たる請求が本訴の目的たる請求又は防禦方法と牽連することが反訴の要件とされているが、右にいう牽連するとは、反訴請求が本訴請求又は本訴における防禦方法(抗弁)とその権利又は法律関係の内容又は発生原因において共適することをいうのである。しかし、反訴請求が本訴における防禦方法と牽連する場合でも、その防禦方法がその主張自体において法律上防禦方法たり得ないとき、又はその防禦方法の提出が不適法として却下されるときは、反訴も不適法として許されないものと解すべきである。けだし、このような場合にもなお反訴を許すことは、訴訟経済上なんら益するところがないばかりでなく、かえつて反訴濫用の害を招くからである。これを本件についてみるに、本訴請求は、原告らが被告に対して有する昭和三四年三月分の給与の一部未払分の支払請求権にかかるものであり、反訴請求は、被告が原告らに対して有するという昭和三三年四月分の給与の一部過払による不当利得返還請求権にかかるものであるから、本件反訴請求は本訴請求とは、その権利の内容ないし発生原因において法律上も事実上も共通するところがなく、従つて牽連するとはいえない。また被告が本訴における防禦方法として主張する給与の差引調整は、たとい反訴請求と牽連しても、既に述べたように、違法であつて、その主張自体において法律上本訴における防禦方法たり得ないのである。従つて、本件反訴は不適法として却下する外ない。
三 よつて、原告らの本訴請求は理由があるから、これを認容し、被告の反訴は不適法として却下することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条を適用し、主文のとおり判決する。
なお仮執行の宣言を付するのは相当でないから、これを付さない。
東京地方裁判所民事第一九部
裁判長裁判官 吉 田 豊
裁判官 石 田 実
裁判官北川弘治は転任のため署名捺印することができない。
裁判長裁判官 吉 田 豊
当事者目録、別表≪省略≫